睡眠時間は殆どの人で6.5~8時間が必要で、6時間以下で済む人は人口の1%未満で多くは遺伝的な体質によります。健常人でも睡眠不足になると耐糖能(血糖を下げる力)が悪化するとされ、健康な男性を対象に4時間睡眠と12時間睡眠での血糖値と耐糖能を比べると、睡眠不足状態(4時間睡眠)では、インスリン分泌には変化がないものの、朝食後の血糖値が高くなり耐糖能が悪化しました。その他、睡眠時間が短い(5時間以下)と、7~8時間の睡眠が取れている集団に比べて、糖尿病になる危険性が2.51倍に高まることも報告されています。

一方、糖尿病患者の睡眠障害の頻度は約40%で、健康な人の2倍以上です。特に入眠障害(寝つきが悪い)と早朝覚醒(予定の起床時刻より早く目覚めて、以後眠れない)が多く、血糖コントロールが不良な人ほど不眠の人が多いとされます。

睡眠時間が約7時間を底にU字型となって、6時間睡眠や9時間睡眠の集団では肥満度が高くなります。これは睡眠時間が短いと、満腹ホルモンの分泌量が減り空腹ホルモンが増えるためと考えられます。そして最終的に不眠が高血糖や糖尿病を増悪させ、この血糖値の上昇はさらに不眠を悪化させるという悪循環に陥ると考えられているのです。