SFTS(重症熱性血小板減少症候群)をご存知ですか?
SFTSはマダニが媒介する新種のウイルスによる感染症で、日本では平成25年1月に初めて患者が確認され、それ以降西日本を中心に232例発症し53例が亡くなっています(致死率22.8%)。愛媛県では今年5月に八幡浜で1例死亡例を加え24例発症し8例が亡くなっている非常に怖い病気です(致死率33.3%)。マダニが活動する春から秋にかけて発症が集中し、愛媛県でも4月から8月に24例中22例が発症しています。
SFTSウイルスに感染すると2週間程度の潜伏期を経て発熱と消化器症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が出現、進行すると頭痛、意識障害、皮下出血や下血などの出血症状などが出現し場合によっては死に至ります。
マダニは森林や草地などの屋外に生息する比較的大型のダニ(吸血後は10~20mm)で家庭にいるダニとは全く種類が異なります。現在の日本ではキャンプや山登り、トレッキングなどのアウトドアの趣味が盛んになり、SFTSは山や森で生活する人だけの病気とは言えなくなってきています。
SFTSには現在有効な抗ウイルス療法がなく、まずマダニに咬まれないことが重要です。マダニの生息場所に入るときは靴も含め肌の露出を抑えましょう。万一マダニに咬まれていたら無理に引き抜かず(その際にマダニの体液が体内に逆流します)医療機関を受診して下さい。すぐに受診できない場合はワセリン法(たっぷりのワセリンでマダニごと被い30分放置、それでマダニが窒息し簡単に拭取れます)を試みてください。その後必ず医療機関を受診して下さい。マダニに咬まれたかが確認できなくても野山や畑、草むらに入った後に原因不明の上記症状がある場合は素早く医療機関を受診して下さい。
最後にもう一度言います。SFTSには有効な治療法がないため重症化して体力が落ちる前に治療を開始することが重要ですのでこのお話をしっかり覚えておいてください。