RSウイルス感染症は、大人も子どももかかります。特に乳幼児や高齢者、基礎疾患のある成人には重篤な呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。2歳までにはほぼ全員が罹患(りかん)し、一度感染しても十分な免疫を獲得できないため何度も感染と発症を繰り返し、免疫機能の低下した人は肺炎に至ることもあります。

 感染経路は飛沫感染・接触感染です。4、5日間の潜伏期間後に、発熱・鼻水・咳などの上気道炎症状で発症し、多くの人は数日で回復しますが、免疫機能が低下している人は下気道症状があらわれ、肺炎まで進行することがあります。RSウイルス感染症に対する特定の治療薬はないのですが、使用対象が新生児・乳児などと限定的ではありますが、2種類の抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体が使用可能となっています。成人には2種類のワクチンがあり、60歳以上の成人と50歳以上で重症化リスクが高い人の重症化予防を目的としたものと、妊婦に接種を行うことで、生まれてくる新生児、乳児のRSウイルス感染症予防を目的としたものがあります。

 しかし、現時点では長期的な予防効果は不明で、公費負担の対象となっていないため、かなり高額となります。