男女の性により、病気の発症率・経過・重症度などに差があります。

精神科の領域では、男性に多いのが、アルコール依存症、薬物乱用、注意欠陥多動性障害などで、女性に多いのは、うつ病、摂食障害などです。今回はこのうち認知症についてお話します。

ヒトの大脳半球にはもともと左右差があり、性差があります。左半球は言語性機能に、右半球は空間処理機能に分化しており、男性では左半球が大きくランク付けを伴う競争等で高い能力を発揮し、女性では大きさに左右差が少なく言語能力や安全を確保する能力が高いこと等がわかっています。

加齢により認知症の有病率が増え、最近の調査では、65歳以上人口の約15%に認知症が認められ、女性では男性の1.4倍多いとされます。認知症には大きく分けて血管性認知症とアルツハイマー病があり、血管性認知症は80歳以上で男性の方が多くなるのに対し、アルツハイマー病は90歳以上で女性が5.8倍多いことが報告されています。

アルツハイマー病に特徴的な「脳内病変の老人斑」と認知機能低下の程度と必ずしも一致しないことは、脳サイズの大きな男性の方が女性と比較して脳予備能力が大きいために、男性でアルツハイマー病がより少ないと説明されています。