日本人の不眠を訴える割合(1998年調べ)は、成人の21.4%(睡眠薬の服用者は4%)ですが、50歳代までは10数%、60歳を超すと30%と年を取るほど増えます。

不眠と関連する生活習慣は、強い順に
(1)高齢であること、
(2)体調不良であること、
(3)ストレスがあること、
(4)ストレスに対処するのが下手であること、
(5)運動習慣がないこと、
(6)無職
と報告されています。また、入眠障害(寝つきの悪さ)の頻度は、年齢による影響を余り受けず、中途覚醒や早朝覚醒が高齢になると著しく増えます。

睡眠が量的、質的に不足すると、健康な人でもインスリンの効きが悪化して血糖が上がってきますし、逆に糖尿病患者の3割が不眠を合併しています。睡眠時間が短くなると(目安は5時間未満)、グレリン(摂食促進ホルモン)が増えて、レプチン(摂食抑制ホルモン)が減るため、食欲が亢進して肥満し、その結果、糖尿病が発症・増悪すると考えられています。ただし、不思議なことに、男性では不眠があると確かに糖尿病の発症リスクが高くなるのですが、女性ではこの関連が認められないのです。

また、高血圧の患者さんの3~5割が不眠を合併すると言われ、健康な人でも徹夜をすると拡張期血圧が10mmHgくらい上昇します。睡眠時間が5時間以下になると、高血圧の発症リスクが1.5倍になります。その他、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)のリスクも睡眠時間が短いと高血圧と同様に増えます。